時論自論

かみなりがゴロゴロ鳴ると押入れの中で泣いていた子が大人になった日記

一括申請

久しぶりに司法書士らしい登記のお話しです。



Aさんの持っている土地・建物をBさんが買ったとき、Aさん→Bさんへ所有権移転登記を申請しますが、これをどう処理するか?というお話しです。



土地についてAさん→Bさんへの所有権移転登記を1件

建物についてAさん→Bさんへの所有権移転登記を1件



として2件申請するか



土地・建物についてAさん→Bさんへの所有権移転登記を1件



として一括申請するか



です。



一括申請できる要件としては

(1)当事者が同一であること

(2)登記の目的が同一であること

(3)登記の原因・日付が同一であること

(4)物件が同じ法務局の管轄内であること

です。



売主Aさんと買主Bさんは土地・建物のついて同一です。

登記の目的は所有権移転で同一です。

登記原因としての売買、その日付も同一です。

土地・建物は同じ法務局の管轄内です



司法書士の報酬は「1件いくら」ですので、1件で一括申請すれば、お客さんにとっては1件分の費用負担で済みますので、2件に分けて申請するよりも安上がりです。



もちろん、私の事務所ではそうしていますし、多くの事務所でもそうしていると思います。



が、残念なことに、ときどき、「どう見ても、件数(=報酬)を増やすために、土地と建物を別々に登記申請したな・・・・」と思われる登記に出会います。



他の司法書士の見積書を見せられて、「これ、高くないですかね?」と質問されるときもありますが、そういうときは、ほぼ間違いなく「わざと土地と建物を別々に申請して2件分の報酬を請求している」というケースです。



確かに、土地と建物を2件に分けて申請したって悪くないのですが、1件で済むものをわざわざ2件に分けるのは、お客さんから説明を求められたとき、説明できないはずです。懲戒の申立てをされても仕方ないでしょう。



一時期、インターネットを使ったオンライン申請を普及させるために、登録免許税の軽減措置が図られたことがあり、報酬としては1件分しか請求しないけれども、登録免許税の節税のために、わざと2件、3件と分けて申請する、ということが行われていた時期がありましたが、今回、私が出会った登記簿は、軽減措置がとっくに終わってから申請されたものでした。



確かに、登記の仕事は斜陽産業で減る一方ですが、だからといって1件で済む申請を2件に分けて、2倍の報酬を請求する・・・・それをやっちゃ~オシマイよ、と寅さんが言うでしょう。






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