時論自論

かみなりがゴロゴロ鳴ると押入れの中で泣いていた子が大人になった日記

相続登記の義務化

今日の新聞に、法制審議会が相続登記の義務化を答申した、とありました。

相続を知ったときから、「正当な理由なく」3年以内に所有権移転登記を申請しないと10万円以下の過料、とありました。

「正当な理由なく」ですので、相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人の1人が行方不明である場合などは、この例外に入ると思います。

しかし、私には「やり過ぎ」と感じられます。

登記をする、ということは、自分の取得した権利を守る、ということです。

本来、自分の取得した土地・建物の権利を登記して守るかどうかは、その人の自由です。これが原則です。

しかも、相続を原因とする場合、相続人以外の第三者に権利が渡ってしまう可能性は「時効」を除いてありえないのですから、なおさら「余計なお世話」です。

要は、相続登記を放置されてしまうと、所有者(相続人)がどこの誰なのか、把握するのが大変で、税金を取るのが大変だから義務化してしまえ!としか聞こえません。

ニュースでは、「所有者不明の土地」というキーワードが一人歩きしていますが、所有者は調べようと思えば調べられます。

私自身、これまで、相続人が50人以上いるケース、相続人が70人以上いるケースで、調停申立てや訴状の作成をやった経験がありますので、調べようとする意志さえあれば、ほぼ調べ上げることができるのです。

住民票が職権削除されてしまって本当に行方不明の相続人がいることもありましたし、住民票という制度がない海外に転居してしまって音信不通になってしまっている相続人がいることもありましたが、いずれも家庭裁判所に不在者財産管理人選任申立てをすればこと足ります。

戸籍上、死亡の記載がなく、140歳くらいの人が相続人になってしまっているケースもありましたが、これも次順位の相続人が利害関係人として家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすればこと足ります。

そういう意味では、本当に所有者が不明な土地というのは、相続人全員が相続放棄をしてしまって、完全に宙に浮いてしまった土地くらいしかないのでは?

もう1つの可能性として、「固定資産税が非課税の土地」というのがあります。

相続人が遺産を調査するとき、不動産については、毎年送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」を基に調査することが多いのですが、これは固定資産税・都市計画税を徴収するために作られた台帳をベースにしましますので、そもそも固定資産税が非課税の土地は載ってこないことがあります。

具体的には墓地、個人の土地でありながら公衆用道路や用悪水路、保安林などに指定されてしまった土地などは、非課税ですので、載っていないと、ほぼ相続の登記から抜け落ちてしまいます。

田舎に行けば、畑の中や、山の中に、個人の所有地の中に存在する墓地というのは、まだまだたくさんあります。

そういう土地は、村のみんなで、あるいは親族のみんなで、共有していることが大半ですが、きっちり相続登記をしてある墓地は滅多に見ませんし、相続登記なんかしなくても誰も困っていません。


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過料と科料

飲食店が営業時間の短縮命令を拒否したり、新型コロナウイルス感染した患者が入院を拒否したり、保健所の調査を拒否したりすると「過料」が課されることになった、というニュースがありました。

同じ読み方で、「科料」というものがあります。

どちらもお金を払わされるという点では同じですが、今回の「過料」は行政罰と呼ばれるもので、もう一つの「科料」は刑事罰です。

「科料」は刑事罰ですので、死刑・懲役・禁固・罰金などと同じ仲間です。



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遺留分の時効

人が亡くなることで相続が発生しますが、相続人の権利(=相続権)自体は消えてなくなることはありません。

ですので、ときどき戦前に登記されたのを最後に相続登記が放置されている物件に出会うことがありますが、相続人の相続人の相続人の・・・・というように、現在の相続人を探し出して特定し、その上で遺産分割手続きを行う必要があります。

相続される権利は所有権だけではありません。

戦前に100円を借りた際に抵当権を設定したが、そのまま放置されているということもあり、これも「基本的に」は抵当権者の相続人の相続人の相続人の・・・・と、現在の相続人を探し出して特定し、抵当権抹消登記に協力してもらう、ということが必要になります。

ですが、遺留分という権利は、意外と簡単に時効にかかって消えてしまいます。

遺留分とは、遺言書に「全部を長男に相続させる」と書いてあったので自分の取り分が何もなかったとか、生前贈与によって目ぼしい資産は全て長男に移されていたため、相続発生時点では自分が相続できる財産が何も残っていなかったとか、そのような場合であっても、相続人として奪うことのできない最低限の権利のことですが、遺言書によって自分の遺留分を侵害されたという事実を知ったときから1年、あるいは、何も知らなかったとしても相続開始から10年を経過してしまうと、遺留分を主張する権利は時効で消えてしまいます。

消えてしまう、というのは少し語弊があり、正確には「相手から消滅時効の完成を援用されてしまうと何もできなくなってしまう」という表現になります。

親族が亡くなって、いつになっても遺産分割の話しが出てこない・・・・というときは、遺言の存在を気にする必要があります。

公正証書の遺言であれば、日本全国の公証役場で、遺言書の有無を調べてもらうことができ、あればその写しを交付してもらうことができます。

ずる賢い長男がいて、親に「すべてを長男に相続させる」という遺言を作らせておき、親が死んで10年間は遺産分割のことを黙っていれば、親が死んで10年経った時点で、「実はこういう遺言があるから全部オレのもの!」と言われてしまえば、他の相続人は何も言えなくなってしまう・・・・そういうことが理屈の上では可能です。

死後、1年経っても遺産分けの話しが出てこないようであれば、何らかの行動を起こしておくことをおすすめします。
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財産開示手続き

先日、民事執行法の改正によって強化された「財産開示手続き」の申立書を作成しました。

これは私も初めての経験です。

裁判を起こして勝訴判決を手にしても、相手が任意に支払わなければ強制執行せざるを得ないわけですが、相手がどこにどんな財産を持っているのか?は自分で調べるより他なく、せっかくの勝訴判決が「絵に描いた餅」になってしまうこともままありました。

財産開示手続きという制度は、確定判決などを持っている債権者が、裁判所に対して申立てを行うと、裁判所が債務者に呼出状を送って、財産開示期日において財産を陳述させる、というもので、この制度自体は以前から存在していましたが、呼び出しに応じなかったり、正直に自分の財産を陳述しなかったりしても、これに対するペナルティーは「行政罰」で、具体的には「30万円以下の過料」でした。

裏を返せば、30万円を支払えば、自分の財産を明らかにしなくて良い、ということで、あまり実効性がない手続きだと言われていました。そのため、利用もそんなに多くはないと言われていました。

これが法改正によって、呼び出しに応じなかったり、正直に自分の財産を陳述しなかったりしたときのペナルティーが「刑事罰」となり、具体的には「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」へとグレードアップしました。

30万円以下が50万円以下に増額されただけ、ではありません。

行政罰から刑事罰に変更されましたので、「犯罪者」になります。

犯罪者になってしまいますと、仕事をする上で必要な許認可や在留資格など、いろいろな影響があります。

さらにワンステップ上のメニューとして、裁判所から法務局に対して債務者名義の不動産の有無の調査、金融機関に対して債務者名義の金融資産の有無の調査、などもありますが、もっとも効果的と思われる市区町村役場への勤務先情報の調査(源泉徴収されたものがどこの会社から納められているのかが判明すれば給与差し押さえができます。)は、(1)養育費を払わない場合、(2)傷害事件や殺人事件の損害賠償を払わない場合、に限定されてしまいます。








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民法改正~契約不適合責任

今回の民法改正の中で、もっとも多くの取引に影響を与えるのが「契約不適合責任」でしょう。

これは現時点で「瑕疵担保責任」と呼ばれる「売主の責任」が大きく変わるものです。

現時点での瑕疵担保責任では、購入した商品に欠陥(雨漏りするとか、車のワイパーが動かないとか)があった場合、買主がそれを知らなかったときは、①損害賠償請求と②契約解除ができることになっています。

が、この瑕疵担保責任は「任意規定」とされているため、特約で排除することが可能であるため、売買契約書には「売主は瑕疵担保責任は負わない。」という特約を入れてあることが常識になっています。

新しい契約不適合責任では、①まず修繕を求めることができ、②修繕要求に応じない場合は代金減額請求をすることができる、ということになっています。

買主は、雨漏りを直してほしいとか、車のワイパーを動くように修理してほしいと、売主に請求できることになります。

そして、売主がその要求に応じない場合は、その分の値引きを求めることができることになります。

また、今までのように、③契約を解除することもできますし、④売主に責任があれば損害賠償請求をすることもできます。

民法の世界では、改正される契約不適合責任もやはり任意規定とされ、特約で排除することができることになっています。

しかし、他の法律で、この契約不適合責任を特約で排除することが許されないことになっていることもあります。

1、代表的なものとして消費者契約法による制限があります。

  消費者契約法は、事業者と消費者の間の取引に関するルールを定めたもので、事業者と消費者の間で取引する場合、売主である事業者の契約不適合責任を全部免除する旨の特約を入れても、その特約は無効→買主である消費者は、売主である事業者に契約不適合責任を追及できる、ということになります。

 ヤフーオークションなどの個人売買の場合、売主が事業者と認められるかどうか、がポイントになるはずです。売主はサラリーマンをしていても、副業で反復継続してヤフーオークションに出品していれば、事業者と認定される可能性はないとは言えないと思います。

2、不動産取引においては宅建業法による制限もあります。

 不動産業者が売主(所有者)である土地・建物の売買契約に限定されますが、契約不適合責任を免除する特約を入れても、その特約は無効とされます。

 不動産業者が仲介(売主は個人)する場合は、宅建業法の制限に該当しませんし、売主が個人であれば事業者にも該当しませんので、これまでどおり契約不適合責任を特約で排除できる、ということになります。
 
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